原宿シネマ×FRED PERRY ~カルチャーを感じる映画たちvol.2~

第2弾となるコラボレーション企画『原宿シネマ×FRED PERRY ~カルチャーを感じる映画たちvol.2~』は6月24日(金)、数多くのテレビドラマや映画『モテキ』『バクマン。』等の大ヒット作を世に送り出し、『SCOOP!』『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』と、公開待機作が控える映像ディレクターの大根仁さんをゲスト館長にお招きして開催しました。上映した作品は、スコットランドを舞台に、ヘロイン中毒の若者達の日常を斬新な映像感覚で生々しく描いた青春映画の傑作『トレインスポッティング』。会場はいつもとは場所を変えて、今年3月にオープンし、ブランドとしては世界最大のフラッグシップショップを誇るFRED PERRY SHOP TOKYOで行いました。

上映前の館長挨拶では、「ビジュアルや作品の雰囲気に、みんな“お洒落映画”だと勘違いしてデートで観に行ったりしていたけど、実際観ると楽しいのは前半だけで後半はどんよりします(笑)。かく言う自分も、公開当時は女の子と観に行ったけど。96年のスコットランドその場所でしか生まれ得なかった、音楽やユースカルチャー、そしてキャストや監督の想いが奇跡的に絡み合った、青春映画の傑作の一本です。」とコメントし、期待が高まる中でのスタート。ちなみに今回オファーを受けた際に偶然、次回作の参考として本作を再見されていたそうです。

上映後のトークゲストには、20年以上に渡り音楽評論の一線に立ち続ける、『ele-king』編集長の野田努さんをお招きし、90年代ユースカルチャーの記念碑的作品である『トレインスポッティング』について、お二人に存分に語って頂きました。

大根監督曰く、「当時、27~28歳で当然映画も撮っておらず、テレビの仕事に打ち込んでいてモラトリアムの延長のような自分自身に色々重ねていました。低予算で、当時無名の役者を起用していたからこそ、やりたいことがやれた」といった、一線で活躍するクリエイターならではの発言の数々があり、一方、公開前に試写で本作をご覧になったという野田さんからは、「劇中の『“ジギー”・ポップって誰? まだ生きてるの?』という台詞に代表されるように、音楽面において同時代的にも捻った選曲や引用がなされていたため、公開から20年経った現在も古びた感じがしない。しかし、試写で観たときはまさかこんなにヒットするとは思わなかった(笑)。」といった発言をはじめ、“トレインスポッティング”の諸説ある語源や、スコットランド訛りをふんだんに取り入れた原作小説が発表当時のイギリスで大きな話題になったこと等、非常に勉強になる事をお話しいただきました。

本作は、昨年惜しまれつつ閉館した日本のミニシアター文化の象徴の一つである渋谷シネマライズの歴代1位の興行記録も保持しており、そんな同時代人として映画館でご覧になったお二人ならではのコメントの数々により、場内は和やかな雰囲気に包まれました。

トーク終盤には大根館長と野田さんを繋ぐ、共通の盟友である電気グルーヴのお二人にまで話が及び、野田さんの、「大根館長の撮った電気グルーヴのドキュメンタリーは年代記である点や、音楽の使い方・編集をみると、『トレインスポッティング』的要素がかなりあります。」という発言を受け、大根館長からは、「自分は、日本の映画監督の中でアウトサイダー的な立ち位置であることは自覚しているので、その分他の監督より映画の中の音楽には気を遣うようにしています。」とのリアクションがあり、お二人の電気グルーヴ・リスペクトに溢れた会話から、大根館長のクリエイターとしてのポリシーまでをお話し頂くことができ、大満足の展開となりました。

好きな作品や影響を受けた作品については、「一番困る質問(笑)」と困惑されていたものの、「好きな青春映画」「最近のオススメ作品」と絞るのであれば、好きな青春映画は『ガキ帝国』や『岸和田少年愚連隊』等の井筒和幸監督作品で、最近のオススメは『シング・ストリート』とのことです。トークの最後には、来場者の方々からの質問にお答え頂き、「原作モノとオリジナル企画のどちらが得意ですか?」「『バクマン。』の非常に斬新なエンドクレジットは、どういうアイディアから生まれたのですが?」という問いに、「原作を映画化する方に自分の資質がある気がします。音楽で喩えると、作詞・作曲のフロントマンではなく、DJ・トラックメイカー気質なので。」「『バクマン。』のエンドクレジットは、世界中の映画史で掘り起こされていない新しい表現をしたいと考えた時に、観客を最後の一秒まで飽きさせないということを思い付き、easebackというクリエイターチームと協力して造り上げました。」との興味深い御回答を頂いたところで、惜しくもタイムアップ。

是非とも再度、大根監督の館長就任に期待を馳せてしまう、充実した会となりました。